副院長からの耳より情報
子宮頸がんワクチンについて
子宮頸がんは、子宮の入り口付近に(子宮頸部)にできるがんです。
子宮頸がんの原因は、発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。
日本では年間約10,000人が診断され、約3,000人が命を落としています。
若い女性の子宮頸がんの80~90%は、HPV16型と18型の感染によるものであり、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)で予防します。
日本では2013年から定期接種になりましたが、副反応への心配から接種率が大幅に下がってしまいました。現在、若い女性の子宮頸がんの罹患率が増加しており、特に20~40歳代の若い世代での増加が著しくなっています。
このような状況は諸外国の中で日本だけです。近年、産婦人科医や小児科医の間でHPVワクチン接種を勧める動きが高まっています。
◎定期接種
対象者:小学校6年生から高校1年生相当の女子。
当院では9価のHPVワクチン(シルガード®︎9)を使用しています。
これにより90%の子宮頸がんや尖圭コンジローマなどのヒトパピローマウイルス感染症を予防することができます。
◎キャッチアップ接種対象者
HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した女性に対して公平な接種機会を確保することを目的として、キャッチアップ接種が実施されています。
対象は、HPVワクチンの積極的な勧奨を差し控えている間に定期接種の対象であった1997年度生まれから2007年度生まれまでの女性(2024年4月時点)です。
実施期間は、2025年3月末までとなっています(図1)。2024年度に高校1年生相当の女子も、公費で接種できるのは2025年3月末までです。
今回お知らせしたい重要な点はこちらです。
もし、2024年9月末までに開始できなかった場合、接種を希望されても全てのワクチン接種を自費で接種する必要が出てしまいます。
その額なんと約10万円になるそうです!!
●接種スケジュール
●副反応について
このワクチンは筋肉注射です。注射部位の痛みや腫れは他のワクチン同様にあります。
また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こすケースもあります。
対策として、接種直後15分程度病院内で経過観察を行っています。
ワクチン接種を希望される方、接種について聞きたいことがある方がおられましたら受診された際などに遠慮なくご相談ください。